「黄金の夜明け」とは


 ヘルメス結社黄金の夜明け団(The Hermetic Order of the Golden Dawn)(注1)とは、彼らの主張するところによれば

オカルト科学の原理とヘルメスの魔術を構成員に教授するヘルメス協会
です。

 「黄金の夜明け」団は1887年に、イギリスの三人のフリーメイソンにより設立されました。

 同団は、分裂の後、現在は事実上消滅しています。

 しかし、現在もその霊統を受け継ぐと主張する団体や個人が存在しています。
 もっとも、規模等を考えれば黄金の夜明け団の後掲を名乗る者たちの存在や活動以上に、アーサー・E・ウェイト、アレイスター・クロウリーやダイアン・フォーチュン、イスラエル・F・リガルディ、ポール・F・ケイスらの活動を通して、(タロット)占い、魔女術(便宜的に、ペイガン、ウィッカを包摂する概念として本稿では用いる。)や黄金の夜明け団の伝統以外の新しい西洋オカルト(これらは現代の霊性(スピリチュアリティ)の文脈で論じられることもある。)に与えた影響こそが、重大であるといえるでしょう。後掲のシセロの訳本の副題に「現代魔術の源流」とあるのは、故のなき大言壮語ではない、といえます。

 さて、黄金の夜明けについての歴史的事項は、多くの書籍で言及がされていますが、これから学ぶ方は、下記の邦語資料を参照するとよいでしょう。
 なお、公刊書籍のなかでは、2014年現在、内容、入手難度、値段等諸般の事情を考えると、吉村『図説近代魔術』がもっともおすすめできる一冊かと思います。ただ、同書は「近代」とあるように「現代」に及んでいないのでえ、注意が必要です。


(注1)近時、ニック・ファレル等により"The Hermetic Order of"と冠をつけることに異論が呈されている。The Hermetic Order of the Golden Dawnとの呼称は、リガルディが『黄金の夜明け魔術全書』で用いた用語であり、黄金の夜明け団(オリジナル)では使用されていない、したがって、黄金の夜明け団(オリジナル)については、単にThe Order of the Golden Dawnと呼称すべきだ、との主張である。多分にキケロらが商標登録した"The Hermetic Order of the Golden Dawn"と区別を明確にしようとの意図があると思われる。本稿ではリガルディ以降長くThe Hermetic Order of the Golden Dawnとの呼称が、黄金の夜明け団(オリジナル)を指すものとして使用されていたことから、上記表現を訂正していない。
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作成者: TRK
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