イシスへの献辞


ISIS

私は
万物の母、
あらゆる原理の支配者、
人類そのものの創造主、
至上の女神、
黄泉の女王、
天界の最古参にして、
世界の神々や女神の理想の原型。

そして
私は
輝く蒼穹と海を吹きわたる順風と
地獄の恐ろしい沈黙を、
意のままに統べるもの

私の
至上至高の意志は、
世界の至るところで、
それぞれの地方の習慣から、
さまざまの儀式で祭られ、
いろいろの名前で呼びかけられる

Cf. アプレイウス(1957)p.145f.


聖なるかな、聖なるかな
げにも聖なるおんみは、

常に変らぬ人類の救い主、
おんみは
死すべきものに惜しみなき慈悲を
哀れなる身の上に母のごときやさしい愛を
恵み給う。

おんみの御守りなくして、
一日と云えども、
一夜と云えども、
いや瞬く間と云えども、
すぎて行くこと能わず。

おんみは海と陸とを問わず、そこに住む人間を救い給い、
彼等からこの世の嵐を追い払い、
彼等に救いの手を差しのべ、
彼等に執念深く絡みつく運命の糸を
解き放ち給う。

おんみは、彼等のために、
運命の暴風雨を宥め、
天体の不吉な運航をそらし給う。


おんみは天上の神々からも尊敬され、
地獄の神々からも畏服され給う。

おんみは地球をめぐらし、太陽を輝かせ、
この世を統べ、黄泉の国を足元に踏み給う。

おんみの命ずるままに、
星座は従い、四季は巡り、神々は悦び、四大はかしずく。

おんみの頷一つで、
風は生気を帯び、雲は漲り、
種は芽生え、芽は伸びる。

威厳あるおんみの前には
空飛ぶ鳥も、山駆ける獣も、
日に身を隠す蛇も、海を泳する魚も、
畏れ戦く。


それにつけても、我
おんみを讃えるには、余りに詞藻乏しく、
おんみに犠牲を捧げるには、余りに財産が少ない

厳かな御身に抱けし我が思い
今語らんにもいかんせん、
我が声に語るに足りる力なし



百千万の人々の、百千万の言葉でも

それを永遠に続けても、
足ることなし

されど我が貧しき
せめて信心深きにできることを、やらんと欲す

、御身の神々しいお顔と、至福なるお声を、
我が心中にかき抱き
常にそれと共に歩まん

Cf. ibid. p. 165f.


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作成者: TRK
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