黄金の夜明け団の瞑想について


 黄金の夜明け団では、各位階ごとに簡単な瞑想を教授していた。
 この分野については、あまり研究が公表されておらず、どの程度のウェイトをもって捉えられていたのか不明である。少なくとも、アレイスター・クロウリーが、これらの瞑想(点の瞑想は除く)を喧伝していたという話なども聞いていないので、形式的に履修するなど軽く扱っていたものも多かった可能性もある。今後の研究が期待される。


 教授される内容は、ある程度は体系的に分類できるが、十全に整えられた、完全に対照的な体系ではない。修行者は自分で工夫して足りないところを補充する必要があるだろう。

 教授される瞑想の中で、幾何学的な瞑想(点の瞑想、直線の瞑想)があることを不思議に思う方がいるかもしれない。しかし、西洋において、ピタゴラス、プラトン、アリストテレスらの名前を思い浮かべればわかるように、幾何学は哲学者に必要な教養であった。『西洋古代・中世哲学史』(平凡社、2000)でリーゼンフーバーはクザーヌスの項で以下のように述べている。

[...]クザーヌスはこのような幾何学的な象徴を積極的に用いている。なぜなら、無限なものの認識に近づくために思惟が用いることができるのは、厳密な概念でなく、むしろ象徴だからである。様々な象徴のなかでは、数学的、幾何学的な象徴が、特権的な地位を占めている。というのは、数学的・幾何学的象徴は人間の知性そのものによって構成されたものであり、人間の知性の自己表現であるゆえに、人間の知性にとって最も明解だからっである。そして、量の次元を捨象することによって、数学的真理は存在論的真理へと適用され、無限なる神そのものの在り方を説明するものとなるのである。(p.356)
 この説明のすべてに同意する必要はないが、西洋における幾何学の神学や哲学との結びつきを伝えるに十分な文章であろう。

 なお、以下につけたタイトルは、筆者が振った仮のタイトルである。また、下に記載したもの以外にも、Z文書などで取り上げられた参入儀式のレガリア(物品)、図番、セリフ、オフィサーの動きや位置等についても、瞑想の対象となったと思われる。


0=0

第一瞑想(全書上P.63)
 点の瞑想
 四つの呼吸(四拍呼吸)


1=10

第二瞑想(全書上P.77)
 直線の瞑想
 四角形の瞑想
 鉱物の瞑想
  地の霊たちの祈祷
 地の三宮の瞑想


2=9

(第三)瞑想(全書上P.86)
 月の呼吸
 月の瞑想
 空気の三宮の瞑想
  9と5
  五芒星と五角形
 植物の瞑想
  空気の霊たちの祈祷
 外見と実体という観念についての瞑想


3=8

(第四)瞑想(全書上P.92)
 偏菱(ヘンリョウ)形と曩(ノウ)の瞑想
 水星の象徴と8の数の瞑想
 感情の統御
 水の力の瞑想
 水の三宮の瞑想


4=7

(第五)瞑想(全書上P.109)
 火の三角形の瞑想
 金星の象徴と宇宙の愛の瞑想
 火の力の瞑想
 火の三宮の瞑想


予備門、5=6

( 生命の樹(全書上P.125)
 周回(全書上P.129))
(第六)瞑想(全書上P.133)
 十字の瞑想
 犠牲の必要性と普及
 ルカによる福音書9:24に対する瞑想
 ヨハネによる福音書12:24に対する瞑想
 宇宙の中の自分の場所と相対的重要性
 自己の統御の瞑想
 薄雲に覆われた太陽を観照


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作成者: JAGD
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