オカルト学における秘儀参入の道の危険


第一、 オカルト学における秘儀参入の道は想像力の使用に多いに依存している。そのため、厳格な制御法を知らないまま想像力の機能を刺激すると、精神的不安定の原因となる危険がある。

第二、 オカルト学における秘儀参入の道は位階制度を必要とする。そして、いかなる参入儀式も、それを主宰する上位の位階なくしてはありえない。そのため、一体誰がその権威を持っているかという点で論争を引き起こす原因となる危険がある。特に「秘密の首領・導師」を最終的な権威とするとき論争は熾烈となる可能性がある。何故なら、誰もが「秘密の首領」に接触したといえるからである。

第三、 オカルト学における秘儀参入の道は象徴体系の選択が必要になる。しかし、人間の霊魂にある琴線に真の意味で触れるような象徴体系を見つけることは容易でない。そのため、象徴体系の統合がしばしば試みられるが、異質の体系の混乱したままの不毛な寄せ集めに終わる危険がある。

第四、 加えて、位階制度・あるいは単純な先達と後進の関係で知識と経験による差から前者が後者に不当な影響力を及ぼす或いは及ぼそうとする危険がある。逆に、後者が前者を絶対視・依存する危険がある。

(クリストファー・マッキントシュ『薔薇十字団』(平凡社, 1990)p.164参照)
(初出:02/03/21,No.1028 )
Index
作成者: TRK
©2000 and beyond inserted by FC2 system