魔術初心者向けの書籍について


 今回は、日本語で参照できるものだけを挙げます(出版社、出版年については、省略する。)。

 まず、基礎的教養、歴史的教養としては、全般にわたるものとして、リチャード・キャヴェンディッシュ『魔術の歴史』、カート・セリグマン『歴史』あたりがよいでしょう。更に近代史に特化したものとして、吉村正和『図説 近代魔術』は良い作品といえます。

 次に、基礎的な理論や話としては、ウィリアム・アーネスト・バトラーの『魔法入門』と『魔法修行』、ダイアン.フォーチュンの『神秘のカバラ』、「真の治療の技術」を附録として納めるイスラエル・リガルディの『柘榴の園』が古典といえます。また、ジョン・マイケル・グリア『生命の木:ゴールデン・ドーンの伝統の中のカバラ』は、フォーチュンの『神秘のカバラ』と比較すると、平凡でつまらないと感じる人がいるかもしれませんが、『柘榴の園』と同様、『神秘のカバラ』を補完するものといえ、邦語文献の中では重要といえます。
 また、魔術とは必ずしも直結はしませんが、伝統的カバラについて学研の『ユダヤ教の本』の該当箇所が読みやすく、初心者にはよいと思います。

 また実際の技法については、上記の著作以外には、やや値が張りますが、秋端勉の『実践魔術講座』が、瞑想などについてもよく書かれており、おすすめできます。『講座』の第一講義文書はIOSのサイトで無料ダウンロードができます。
 ただ、『講座』は、生命の木の瞑想、研究について上記のフォーチュンやリガルディについて研究済みであることをを前提としており、生命の木に関する瞑想プログラムを提供していません。秋端氏は、かつて、IOSの機関紙において、手に入る商業出版の邦書は既に入手し、読みこんだ上で、更に学んでいこうとする人向けに通信教育しているといった趣旨を書かれていました。そのような前提の上に提供されているテキストであることをしっかりと意識して、取り組んでください。もっとも、当時は大沼氏の関係した本五冊程度と、江口氏らの関係した国書刊行会の世界魔法大全ぐらいしかなかった時代です。


(初出:04/05/04,golden:1212)2021/01/13一部追記
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作成者: TRK
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