著名な本である。日本では日本語での呼び方により世代(年齢ではなく魔術キャリア)が分かる本である。『霊的啓発十二段階』と訳していれば第一世代の人だ。
最初は1969年にSangreal FoundationでTwelve Steps to Spiritual Enlightenmentの題名で出版された。その後1976年にWeiserでペーパーバックで出版された。私の所有するものは同社の第3刷(1992年)であり現在も新刊で入手できるそうだから、なかなかのロング・セラーである。
一年ものの訓練マニュアルでは、邦書ではI∴O∴S∴学習主任の秋端講座、洋書ではSOL学習主任D. Ashcroft-NowickiのThe Ritual Magic Workbookが著名だが両書に較べるとだいぶ薄い。
内容は最初の四つの賛歌は、日拝。LBRPがないのに薔薇十字儀式があったり少し不思議な面もある。
しかし、本書は最初の題名「霊的啓発」に向けられて構成されているので、魔術ではなく「霊的啓発」の為の書籍と見ると意外と不自然を感じずに納得でき、かえってよく考えられた構成と感心させられる。IRは薔薇十字儀式でも冒頭にボーンレス・リチュアルの一節を入れるなど、それ以外の各所に生まれ無き者の大儀式の文句をふんだんに利用している。
これを書いている間に思いが至ったが、この本は生まれ無き者の儀式の参考書と言っても過言ではない。生まれ無き者の儀式の原型となったパピルスはイニシエーションの儀式に分類される。そして、イニシエーションは霊的啓発(Spiritual Enlightenment)と同義と言ってもよいだろう。