山内雅夫
占星術の世界,
中央公論社, 1983


(2) コメント

 著者は昭和六年(1931)生まれ。出版時はNHKニューヨーク特派員を経て同経済番組担当デェレクターである。所謂占い師でも学者でもなく異色といえば異色である。
 この本はホロスコープの作成法・解釈方法のテキストではない。そして、主要文献一覧・索引が付いているが文献表は見事に整理がなされて跡がなく印象は良くない。
 しかし、敢えて紹介した以上注目するべき点がこの本にはある。全体は47程度に分かれ、西洋のみならず東洋の占星術を幅広く紹介している。歴史的記述も多くちょっとした百科時点の観がある。新惑星発見の際の裏話(報告があっても権威者が無視したり、発見していても報告をサボって名声を得そびれたり)などは属性を考える点からも面白かった。
 もちろん、これだけでも充分に紹介の価値がある。しかし、魔術研究の観点からは「アリステア・クロウリー」、マダム・ブラバッキーやジョン・ディーへの言及が昭和58年の時点でなされているのが日本魔術史的に面白い。図書館や古本屋で見つけたらどのように紹介されているかを覗いてみるのがよいだろう。

(3) 目次(抄)

7  ミトラスの崩壊
13 黙示録のドラマ
17 ダンテ
19 トート・ヘルメス・トリスメギストス
20 タロット
21 占星医学者パラケルスス
29 薔薇十字と不死の魔術師
30 フランツ・アントン・メスメール
31 天王星・海王星・冥王星の発見
33 霊・魂・肉体と占星術
36 輪廻転生と占星術
37 霊魂の旅の地図
39 天上の樹と地上の枝に咲く花
40 木星と十二次
42 仏教の占星術
43 占星術の日本への流入
44 北斗七星信仰と宿曜道
45 星祭り
47 アステカの占星術
以上
(初出:01/08/24, No.647 )
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作成者: TRK
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