占星術において、惑星は、移動する12宮によってその影響力に差異を生じるとされる。これを惑星の「格式」や「品位」という。
まず、惑星は自らが支配星となる宮(Dignity、本来の座、盛)にいるとき、もっとも良き影響力が増す。
逆に、自らの支配する宮の反対の宮(Detriment、障害の座、敗)にいるとき、もっとも良くない影響力が増す。
また、惑星には、これら以外にも影響力の強弱が生じる宮がある。影響力が高まる宮をExaltation、高揚の座(興)といい、逆に影響力が弱まる宮をFall、下降の座(衰)という。高揚の座と下降の座は、本来の座と障害の座がそうであるように、相互に反対の位置いわばオポジッション(衝)の関係に立つ。
具体的には以下のようになる。
なお、惑星は7又は10つであるのに対し、支配すべき宮は12宮である。したがって、一つの惑星が複数の宮を支配することになる。かつては、太陽と月を昼と夜をそれぞれ代表する一つのペアと捉え、残る5つの惑星がそれぞれ昼と夜一つずつの宮を支配するとされた(12=2+5*2)。
本図表では、天王星、海王星、冥王星の3つを載せているが、それら発見以前に複数の宮を支配していた惑星については、赤字で表記した上、そのままにしている(これら、三つの外惑星に席を譲った土星(アク)、木星(ピス)、火星(スコ)は、現代でも譲った宮の副支配星として用いられている)。また、外惑星については、高揚・下降の座は定まっていないとして、用いない説も有力である。注意して欲しい。
(注)宮の名前は、ラテン語名の上二つの音をカタカナで表記した。
惑星 | 本来(Di) | 障害(De) | 高揚(E) | 下降(F) |
太陽 | レオ | アク | アリ | リベ |
月 | カン | カプ | タウ | スコ |
水星 | ゲミ(、ヴィ) | サジ(、ピス) | ヴィ(アク) | ピス(レオ) |
金星 | タウ、リベ | スコ、アリ | ピス | ヴィ |
火星 | アリ、スコ | リベ、タウ | カプ | カン |
木星 | サジ、ピス | ヴィ、ゲミ | カン | カプ |
土星 | カプ、アク | カン、レオ | リベ | アリ |
天王星 | アク | レオ | スコ | タウ |
海王星 | ピス | ヴィ | アク(カン) | レオ(カプ) |
冥王星 | スコ | タウ | レオ(アク) | アク(レオ) |
この項は、主としてルル・ラブア『占星学』(実業之日本社、1995)と流智明『占星学教本』(宝島社、2008)によった。いずれも定評のある書籍だが、採用した理由は、この項を作成したとき、たまたま手に取れる範囲においていたからにすぎない。つまり深い意味はない。
マリオン・D・マーチとジョーン・マクエバー(阿木昭子訳、青木良仁監修)『アメリカ占星学教科書 第1巻』(魔女の家Books、1995)も発掘できたので参照した。なお、同書は、アメリカの黄金の夜明け研究家キケロ夫妻が著書で占星術の参考文献としてよく挙げている一冊である。