ユタン,セルジュ 有田忠郎訳 『錬金術』 文庫クセジュ‐白水社 1972。P. 62。≪こは真実にして偽りなく、確実にしてきわめて真正なり。唯一なるものの奇蹟は成就にあたりては、下なるものは上なるもののごとく、上なるものは下なるもののごとし。≫
≪万物が「一者」より来たり存するがごとく、万物はこの唯一なるものより適応によりて生ぜしなり。≫
≪「太陽」はその父にして「月」はその母、風はそを己が胎内に宿し、「大地」はその乳母。万象の「テレーム」(テレスマ Telesma≪意志≫)はそこにあり。≫
≪その力は「大地」の上に限りなし。≫
≪汝は「大地」と「火」を、精妙なるものと粗大なるものを、ゆっくりと巧みに分離すべし。≫
≪そは「大地」より「天」へのぼり、たちまちまたくだり、まされるものと劣れるものの力を取り集む。かくて汝は全世界の栄光を我がものとし、ゆえに暗きものはすべてなんじより離れ去らん。≫
≪そは万物のうち最強のもの。何となれば、そはあらゆる精妙なものに打ち勝ち、あらゆる固体に滲透せん。≫
≪かくて世界は創造されたるなり。≫
≪かくのごときが、ここに指摘されし驚くべき適応の源なり。≫
≪かくてわれは、「世界智」の三部分を有するがゆえに、ヘルメス・トリスメギトスと呼ばれたり。「太陽」の働きにつきてわが述べしことに、欠けたるところなし。≫