二つの黄道
――サイドリアル・ゾディアックとトロピカル・ゾディアック


 サイドリアル・ソディアックとトロピカル・ゾディアック、或いはサイドリアル・アストロジーとトロピカル・アストロジー両者は、立体天球の理論や占星術の本格的教科書では差が触れられる。
 しかし実際の説明はこれくらいではないかと思う。サイドリアルは実際の位置に基くもの、恒星を基準とする黄道十二宮と占星学で起点は七二年に一度ずれる。トロピカルは回帰座標を基準とする黄道十二宮でプトレマイオスが使用されることが多い。現在は歳差運動により大体一つの宮ずれている。
 そして、占星学の教科書では通常、批判派や初学者はこの差をとらえて批判したり混乱するが、両者は全く別の体系であると大抵説明している。
 私自身はプロの占星術師でもないので実はそれほど詳しいわけではないが、占星学の教科書は「別の体系である」で大抵説明は終わっているが、ポンセ『魔法遊戯』第一章にはそれなりに納得できる説明があるので紹介する。ここでは彼の結論だけ述べるので、興味がある人は彼の論証を参照してください。

 ポンセの結論:
 サイドリアルとトロピカル・ゾディアックにより引き起こされる実際の現象、即ち天文と四季(時節)の影響を考えると両者は二つの異なった作用である。そして、両者はその影響を及ぼす範囲で適用されれば合理的である。
 サイドリアルは宇宙の作用が人間の生理的機能に作用と考えるべきである。トロピカルは人間の本能や感情や感覚や感覚に働きかけ、制約している神々が天界の諸作用を通して顕現していると考えられた、全くの象徴的、且つ心的な構造を持つ独自の元型である。トピカルは宇宙論というより、それ自体目的を持つまったくの独立した体系をなす心霊の領域、心理的現実である。

 なお、ポンセは**・ゾディアックと**・占星学と使い分けているのに注意。
(初出:02/03/21,No.1030 )


Back top
作成者: TRK
©2000 and beyond inserted by FC2 system